情緒不安定な人との会話

昨日、鍼灸治療の仕事中、もう何年も前から月一で来てくださる方が、仕事で何か大ミスをしてしまったようで、「もう大変で、死にたいんです」と話された。その方は半年ほど前から情緒不安定で、時々「死にたい」と口にされていた。

私はこれまで、こういう場合は、動揺して何とかしなければ状態に陥っていたのだが、なぜか昨日はとても落ち着いていて、そのまま仕事を続けた。

終わり頃に、私が、「私も、もうどうにもならないところまで追い込まれたことがあって、その時死ぬこと考えました」と話し出し、「元々若い頃から、どうして生きていかなければいけないのだろう、とか考えてしまう方なんです。そういうことを考えてしまう人たちっていますよね。そしてそれをなかなか誰にも話せませんよね」と続けた。(いつもなら私はこういう話は絶対にしない。)

そうしたらその方も、次のように話し始めた。聞いているうちに、その方は、この世の夢からの目覚めの途上にいるのではないかと思えてきた。

「海の底の何も音のない静かな場所から仕事などしていると、何も怖くなくて、とても集中できるんです。そこからだと死ぬことも怖くない。その時に自分は空っぽなんです。いつでもそこにいけるけど、社会で生きていくためには、ずっとそこにいるわけにもいかない時もあり、またこのままだと、すべてが無意味になりそうだし、自分がどうにかなりそうで怖くなってきて、いつもの自分に戻るんです。」

本などで悟りについても学んだこともないような様子で、自分を見つめているうちにそうなったようだった。

トラウマがあり、それでもこれまでがんばってきたことのすべてが無意味になることや、自分を失うことが怖くて、葛藤しているらしいこともうかがえた。そして、そういうことも自覚されている。もしかして、だから半年前から情緒不安定だったの??

とりあえず私は、「全てが無意味に感じられたり、死にたくなったりもしますけど、そうじゃない生き方もあるはずなので、なんとかこの状況を乗り越えて、次の予約の時まで生きのびて、また来てくださいね。」と伝えて別れた。

本当に驚いた。こんな身近に同じ道を歩む人がいるなんて。その学びの道程にも感動し、私も見習いたいと思った。そしてまた、この葛藤や情緒不安は私自身の姿でもあるのだと思った。内的状況の外的映像なのだ。

彼は私の兄弟で、カリキュラムは違っても同じゴールに向かって歩いているのだな〜と考えていたら、全ての人々が同じくそうなのだと思えてきた。彼が教えてくれたのだ。

私は兄弟に心を閉じて生きてきたけど、どの人にも心を開けるようになっていきたいと思った。

(2023年7月 by st55)